CT画像と比較して理解する 外科手術のための臨床解剖学

腹部臓器の解剖の理解を深めて、外科手術の時間短縮やリスクの軽減を目指す。

腹部外科を実施する機会は比較的多いと思います。自分自身が獣医師になって2〜３年目の頃、有難いことに毎日のように避妊手術をやらせて頂ける環境でした。うまく出来たと思える日もあれば、出血量が多くなり手術時間が延長してしまい、うまく出来なかったと思える日もありました。その頃は体格差や個体差によるものだろうと単に思って振り返って考える事さえしていませんでした。今現在振り返って考えてみると、解剖を全く理解していない状態で手術に挑んでいたんだなと、とても恐ろしく感じます。先生はいかがでしょうか？

私は、肝臓、胆嚢、副腎、消化管などの手術を実施するようになって腹部臓器の解剖（特に腹膜の構造）の理解を深めた結果、手術がやり易くなり、出血量が押さえられ手術時間が短くなりました。近年、獣医療においても高度画像技術であるCT検査の普及により、術前の手術プランが立てやすくなっています。しかし、CT画像で全てが分かるわけではありません。CT検査では写りにくい腹部臓器の解剖（大網や腹膜など）を理解した上でCT画像を参考にプランを立てないと、手術時に術前計画が大きく崩れる場合があります。そのため、本セミナーでは外科手術を実施する上で把握しておきたい腹部臓器の臨床解剖をCT画像と比較しながら説明したいと思います。是非ご参加いただき明日からの診療にお役立てください。

（1）腹部外科に挑む心構え／ハルステッドの手術原則

（2）腹部外科手術の成功率を上げるために最も大切なこと

（3）腹部外科の臨床解剖を理解するためには？

（4）開腹手技のポイントを解剖図とCT画像で解説

（5）解剖図とCT画像からの症例の手術プランを考察

・症例1：十二指腸腫瘤

　　　　「腸間膜の構造は〇〇？」

・症例2：脾静脈-後大静脈シャント

　　　　「シャント血管へのアプローチは右側から？左側から？」

・症例3：インスリノーマ

　　　　「膵左葉のアプローチ方法」

・症例4：脾臓腫瘤

　　　　「大網はどこまで？網嚢とは？」

・症例5：縫合糸反応性肉芽腫

　　　　「膀胱生殖窩を理解する」

（6）泌尿生殖器でも意識する膜構造

・避妊手術でも膜構造を意識する

（7）肝胆道系の膜構造

・胆嚢／肝胃膜（肝十二指腸間膜）の膜構造

・全層剥離 VS 分離剥離

（8）まとめ